Visual Studio 2022 で GitHub Copilot を導入する方法と、基本的な使い方を解説します。
GitHub Copilotとは
GitHub Copilotは、AIがコーディングを支援してくれる開発者向けツールです。
ソースコードの続きを自動で提案してくれたり、コメントからコードを自動生成できるため、日々の開発を効率化できます。
GitHub Copilotには複数のサブスクリプションプランがあります。
- Copilot Free
個人ユーザー向けの無料プランです。コード補完やチャット機能など基本的なAI支援が使えますが、利用回数や一部の高機能AIモデルに制限があります。 - Copilot Pro
個人ユーザー向けの有料プランで、Freeよりも高性能なAIモデルや追加機能を利用できます。補完やチャットの回数制限も緩和されています。 - Copilot Business
小規模から中規模のチームや組織向けの有料プランです。セキュリティや管理機能が強化されており、チームでの導入や共同作業にも対応しやすくなっています。 - Copilot Enterprise
企業・大規模組織向けの最上位プランです。Businessの機能に加え、より強力なセキュリティ・監査・統合管理機能が提供されます。
各プランの詳細は公式ドキュメントをご参照ください。
https://docs.github.com/ja/copilot/get-started/plans-for-github-copilot
初めて使う個人の場合は、まず「Copilot Free」から試してみるのがおすすめです。
Copilot Freeには以下のような制限があります。
- コード補完の回数制限:月2,000回まで
- AIチャットの回数制限:月50回まで
- エンタープライズ向け機能(監査・アクセス管理など)は非対応
- 利用できるAIモデルは限定的(高性能モデルはPro版で利用可能)
Visual Studio 2022 にGitHub Copilot を導入する
最新のVisual Studio 2022では、GitHub Copilotが標準で搭載されているため、追加のインストール作業なしでスムーズに利用を始められます。
Copilotを使うためには、次の2つを事前に準備しておきましょう。
- Visual Studio 2022 バージョン17.10 以降
※17.8や17.9でも拡張機能を手動でインストールすれば利用可能ですが、最新機能が使えないといった制約があるので、可能な限りバージョンを上げることをおすすめします - GitHubアカウント
(未作成の場合は下記ドキュメントを参考に作成してください)
Visual Studio で使用するための GitHub アカウントの作成
ここでは、Visual Studio 2022にGitHub Copilotをインストールし、有効化する手順を中心に解説します。(GitHubアカウントの作成方法については割愛します)
Visual Studio 2022 (バージョン17.10以降) にGitHub Copilotをインストールする
まず、現在使用しているVisual Studio 2022のバージョンを確認します。
Visual Studio 2022で任意のプロジェクトを開き、上部メニューバーの[ヘルプ] > [更新プログラムの確認]をクリックしてください。

もし「現在のバージョン」が17.9以前であれば、更新プログラムを適用してバージョンを上げてください。(なるべく最新に上げることをおすすめします)

※既にバージョン17.10以降だが、バージョンを上げずにGitHub Copilotだけをインストールしたい場合は、Visual Studio Installerからオプションの「GitHub Copilot」にチェックを入れてインストールしてください。

Visual Studio 2022でGitHub Copilotを有効化する
Visual Studioで初めてGitHub Copilotを有効にする手順を紹介します。
Visual Studioで任意のプロジェクトを開いたら、メニューバーの[表示]から[GitHub Copilot チャット]をクリックします。

Copilotチャットが開いたら、既に企業などでGitHub Copilotを利用している場合は、「サインイン」を選び、CopilotのサブスクリプションがあるGitHubアカウントでログインしてください。
個人などで初めてGitHub Copilotを使う場合は、「Copilot Freeにサインアップする」をクリックしてください。

ブラウザが開くので、対象のGitHubアカウントの「Continue」をクリックします。

「サインインが完了しました!」と表示されたら、Visual Studioに戻ってください。

以下の表示になっていればGitHub Copilotの有効化は完了です。

GitHub Copilotの主な機能
GitHub Copilotの主要な機能を紹介します。
言語はC#を使用していますが、JavaScriptやPythonなどでも高精度の提案をしてくれます。
※説明にはVisual Studio 2022のバージョン17.14を使用しているため、古いバージョンの場合は使えない機能も含まれています。
コード補完(Copilot Completions)
GitHub Copilotの代表的な機能として、強力なコード補完機能があります。
例えば、Person.cs
というファイルを作成後、public
と入力してみると、Personクラスのプロパティやコンストラクタが自動で補完されます。

提案を受け入れる場合はTabキーで、別の提案をしてほしい場合はAlt + / キーを押します。
また、コメントで処理内容を記載することで、自動でコードを生成することもできます。
例えば、// 2つの整数を加算する
というコメントを入力してみます。

Enterキーで改行すると、自動的にコードを提案してくれます。

次は、先ほどより少しだけ複雑なロジックのコメントを書いてみます。

瞬時にメソッドを生成してくれました。

引数や戻り値を具体的に指定すればより精度が高いコードを生成してくれます。
Copilot Freeでは月2,000回までコード補完を利用することができます。
どれくらい利用したかは「Copilot消費量」から見ることができます。


Copilot チャット
Copilot チャットは、Chat GPTのようにチャット形式でAIに質問できる機能です。
コーディング中に疑問に思ったことやエラー原因の調査、ユニットテストの作成依頼などを日本語で尋ねることができます。
例えば下記のように実装方法の質問をすると、具体的な実装方法をサンプルコードとともに詳しく教えてくれます。

Copilotチャットには様々な補助機能があり、以下でいくつか使用例を紹介します。
入力欄で「@」を入力後、ワークスペースを選択すると、ソリューション全体に関する質問をすることができます。


「#」を入力するとファイルやクラス、メソッドを指定して質問や修正依頼をすることができます。


「適用」をクリックすると、ファイルに提案が反映されます。

「/」に続けて、一覧に表示されるコマンドを選ぶことで、指示を簡単に投げることもできます。


左下の本のアイコンをクリックすると、用意されているプロンプトのテンプレートが選択できます。

入力欄には画像も貼り付けられるので、以下のような質問にも素早く回答してくれます。

Copilot Freeでは月50回までGitHub Copilot チャットを利用することができます。
インラインチャット
インラインチャットはチャットウィンドウとは別に、エディター内で選択したコードやファイルに対し、直接AIに指示を出せる機能です。
エディター内で右クリックすると「Copilotに質問する」というメニューが表示されます。

自由に質問や指示を出すことができます。

提案を受け入れる場合は、今まで同様Tabキーを押します。

「チャットウィンドウで続行」をクリックすれば、インラインチャットでの会話をチャットウィンドウで続けることもできます。

次の編集候補(Copilot NES)(Visual Studio 2022 バージョン17.14 以降)
次の編集候補(Copilot NES (Next Edit Suggestions))は、直近の編集内容から、次に行う編集内容を予測する新しい機能です。
従来のインテリセンスと違い、AIがコードの文脈を理解して直すべき改善点やリファクタ候補を提案してくれます。
Copilot NESの機能を使うには、GitHub Copilotアイコン→設定→「次の編集候補を有効にする」にチェックを入れる必要があります。

例えば以下のコードでは、4つのメソッドのうち上2つに引数をチェックする条件分岐を入れたところ、残りのメソッドに対してCopilot NESにより編集候補が提案されました。

Tabキーを押すと提案を受け入れられます。

従来のインテリセンスよりも強力にアシストしてくれるので、作業効率アップや修正漏れの防止に役立ちそうです。
Copilot エージェントモード(Visual Studio 2022 バージョン17.14 以降)
Copilot エージェントモードは、チャット機能の枠を超えて、より自律的・能動的に開発タスクをこなしてくれる先進的な機能です。
例えば「このプロジェクトに新たな機能を追加したい」「特定の設計パターンで全体をリファクタしたい」といった要望に対して、Copilotが複数のファイルや様々なツールを連携して自動で作業を進めてくれます。
Visual Studio 2022 バージョン 17.13 では、複数ファイルをまとめて編集できる「Copilot Edits」機能が提供されていました。
バージョン 17.14 以降では、この機能が「エージェントモード」として進化・統合されていますが、設定でエージェントモードをオフにすれば、従来の「Copilot Edits」も引き続き利用できます。
使い方はとてもシンプルで、以下の「質問」を「エージェント」に切り替え、変更や依頼内容を入力するだけです。

ここでは例として、BlazorのシンプルなTODOアプリに認証機能を実装してとエージェントに依頼してみます。ちなみに以下はログイン機能実装前のTODOアプリです。

以下のように依頼すると、Copilot エージェントがプロジェクト内のファイルを自動で調べて、認証機能に必要なファイルの追加や修正を行います。(必要に応じてビルドやエラー修正もエージェントが行ってくれます)

今回は数分でタスクが完了しました。デバッグ実行して動きを確認してみます。
Todo画面を開こうとすると、ログインが求められるようになっていました。

IDとパスワードを指定してログインします。

ログインに成功するとTodo画面が表示されました。シンプルですが最低限の認証機能がエージェントによって追加されたことがわかります。

今回はシンプルな例でしたが、エージェントモードを使えば、プロジェクト全体の横断的な作業もAIに丸ごと任せることができるようになります。
Copilot Freeでも試すことができるので、ぜひ実際に動かしてエージェントモードのすごさを実感してみてください。
まとめ
Visual Studio 2022へのGitHub Copilotの導入方法から、基本的な使い方について紹介しました。
GitHub Copilotの成長は早く、次々と新しい機能が追加されています。
常に最新のドキュメントを確認しながら、GitHub Copilotをフル活用していきましょう。
参考ドキュメント




